平成28年度総括研究報告書

各地方公共団体における墓地経営に関する情報共有のあり方に関する研究

平成29年3月

研究代表者 浦川 道太郎
公益社団法人 全日本墓園協会 特別研究員(早稲田大学 名誉教授・弁護士)

総括研究報告書/関連資料

関連資料

4-1 事例1(東京都公園協会)ヒアリング詳細

4-1 ヒアリング詳細


公益財団法人 東京都公園協会

2012 年12 月14 日東京都公園協会にて。


横田:資料としては、公益財団法人東京都公園協会の情報共有の例と別途、承継手続きに関する資料1 から2(別添)までのファイルもいただいています。これは一応参考資料というか、現場の方はこれでチェック項目を入れて対応をしているという理解でよろしいでしょうか。
担当者:これは現場も使いますけれども、ホームページでお客様に公開している資料です。
横田:そうなのですか。分かりました。ではまず「公益財団法人東京都公園協会の情報共有の例」からお尋ねしたいのですが、長年、各施設責任者による会議体を活用して運用をしているとありますが、これは東京都公園協会の発足当初からでしょうか。
担当者:東京都公園協会が都立霊園の管理受託をし始めたのが昭和20 年からです。30 年以上も前のことですので、当時の記録は残っておりませんが、可能性としては、その当時から「所長会」 「係長会」などにより、何らかの情報共有が取られていた可能性はあります。現在は「霊園・葬儀所会議」という名称で毎月会議を行っています。
横田:会議の議題や議事録などの資料についてですが、現在では、どの様な保管ないしデータベース化しておられるのでしょうか。
担当者:資料は、大体3 年分保管しています。古いものは残ってはおりませんが、少なくとも平成18年度-10 年程前から、指定管理者として東京都公園協会が霊園を管理するようになった当時は、ちょっとかたちは違いますけれども、同様の会議体が開催されていました。
横田:今3 年分というお話が出たのですけれども、過去にさかのぼって、資料を確認する必要性、たとえば、改めて会議等などで、活用するというようなことはないですか。
担当者:1~2 年前までの資料を見返すことはたまにあります。が、4 年、5 年前のものがあればよかったのに、というようなことは、あまりありません。
横田:「ああ、あのとき残しておけばよかったな」というようなことはない。
担当者:ないですね。議論の内容を読み返すということはないですね。議論の結果決定したことは、会議の記録資料とは別に、通知文として、決定した事項を各事務所に流しますので、その経緯を読み返すということはあまりないです。
横田:そのときに各事務所に、保管の方法なりということの指示までは具体的にはなされないのですか。あるいは各霊園、管理事務所の所長さんが出席なさっておられるわけですから、コンセンサスとして、この資料-決定した文書ですね。それを保管なのですが。
担当者:当協会の場合はまず文書番号を取って起案をしまして、協会としての決定をして保管します。それ以外の通知文も、それに準じたかたちで、保管しています。その保管場所などは各所に任せていますが、保管方法は基本的には同じです。
横田:すみません。ここで確認しておきたいのですが、今、お聞かせいただいているお話の内容は、決して霊園の管理業務だけには特化したものではなく、あくまでも「公益財団法人 東京都公園協会」という組織全体に共通したものだと理解して宜しいでしょうか。
担当者:その通りです。
横田:開催場所は、東京都公園協会本社になるのですね。メモでいただいたのが、東京都公園協会本社会議室および各霊園管理事務所という書き方になっていますけれども、その本社というのはここですね。
担当者:そうです。
横田:となると、東京都の公園課に行って、何か話し合うとかということはなくて、こちらで決めたこと、ないし向こうから、「こういうことを考えておいて」というのを、「話し合ったらこういう結果になりました」という文書のやりとりだけで、直接東京都のほうまで足を運んで、いろいろ議論をするというようなことは?
担当者:それはよくあります。私も月に数回は都庁に打ち合わせに。ある特定の霊園の案件でしたら、霊園の所長も一緒に行く場合もありますし、全体的な案件なら、私とか本社の担当の係ですね、管理料の徴収に関わる部署とか、新規募集に関わる部署の係長を連れて行く場合もありますし、案件によってです。
横田:そうすると、そこら辺はあまりかちっとしたかたちではなくて、柔軟にというかケースバイケースで、そんなに他人行儀にしゃきっと分けているわけではない。要するに、こういう問題があるから話し合ってくれと、積み上げ方式で、こうなりましたという報告を出すとか。あるいは、こういう問題があるけれども、本社のほうを対応してくださいという話を積み上げていって、本社のほうに、「各管理事務所において、こういう要望があります」というような、積み上げ方式とかではなくて、もう少しそこら辺はやわらかなというか、問題に応じてということですか。
担当者:そうですね。現在東京都とは、よくコミュニケーションを取らせていただいているので、ざっくばらんに相談をして、必要があればそれを文書で残しておく。決定しておく必要があるものについては、こちらから依頼文を出して回答をもらう場合もありますし、逆に都庁側から通知文が送られてくる場合もあります。口頭で指示があった場合には、私が通知にして現場に周知する場合もあります。
横田:これまで都庁の公園課(霊園課)の課長が替わったりするという御経験があろうかと存じますが、その辺りでこういった連絡ないし、今お伺いした相談のあり方が微妙に変わるというのはありませんか。
担当者:多少はあるかもしれませんが、微妙な場合は文書化して確認を取りながら進めます。
横田:先ほどの承継手続きに関する書類についても都庁といろいろ協議しているのですね。例えばこれはもう1 バージョン付け加えたほうがいいとか、文言をちょっと改めたほうがいいとか………ただ、これはお墓特有の話になって、情報共有から話が外れるのですが、墓埋法で、例えばお墓のことは墳墓です。だけど一般の人は、「墓地買った」とか言いますね。決して「都立霊園のA の何号の区画の使用許可を受けた」などという言い方はしない。それを分かりやすく言い換える。だけど定められた用語の定義なり、それから外れるわけにはいかないわけです。こういう書類の場合、一応申請書類-公文書-なのですから、分かりやすくとは言いながらも、自ずと“限界”というか、譲れない一線というのが、やはりあると思うのです。これは表現を変えてしまうと。
担当者:なので、「祭祀」という言葉などは、なかなか変えにくいですね。お客様向けの資料は改善をしてきていますが、まだ分かりにくい部分はあるので、書き方については、検討を続けています。
横田:まだ検討の要ありというか。
担当者:そうですね。戸籍のところがお客様にわかりにくいところなのです。例えば現名義人と申請者の関係が分かる戸籍謄本といったときに、つながりが分かるものといっても、戸籍自体が 途切れないようにつながっていないと、申請書類として確認できたことにならないのですが、「お父さんとお母さんの名前が同じなのだから、関係があるに決まっているでしょう」という解釈をする方もいらっしゃるので、この表記をどうしたらいいのかということで悩んでます。どう書いても、なかなかお分かりいただけない部分があるのは悩ましい課題です。
横田:そうした、現場の窓口から課題が上がってきてどうしようかというのは、どうなのですか。何か思い付く限りで、1 つか2 つでもそういうケースがあれば。現場でこういうのを使っていて、例えば戸籍の話で、これがどうも窓口でひっきりなしに質問されるので、これはどうしたらいいのですかと。書類の提出-許可の申請に限らない話ですけれど。
担当者:お客様によりわかりやすくご案内するために、パンフレットを作成することがあります。例えば立体埋蔵施設というのが区部霊園にあるのですが、それがどういう施設なのかという案内をするものがなく、口頭の説明ではお客様が分かりづらいということがありました。そこで、分かりやすいイラストの入ったパンフレットを作って、東京都の了解をもらって配るようにしたことがあります。
横田:立体埋蔵施設のパンフレットなどというのは、現場で作って、本庁に持って行って、了解を得て、それで作るという感じですか。
担当者:そういうケースもあります。あとは、決まっていることをビジュアル化しただけでしたら、報告で済む場合もあります。また、申し込みのしおりなどは、新規募集の際に毎年変えています。例えば、今までの例を挙げると、生前と遺骨の組み合わせが分かりづらくて、お客様が間違った申込内容を書いてきてしまうことがあったので、イラストを入れるようにしたとか。しおりの中身は毎年東京都と調整しながら公園協会で改善して印刷しています。
横田:例えば名義の変更だとか、改葬許可証の交付は、公園協会が改葬許可の交付とかはしているのですか。そうではなく、一応改葬許可申込書があるから、これを書いて本庁の-おそらく公園課だと思いますが-そちらに行って許可証はもらってくださいとか。
担当者:東京都で改葬許可証を発行することはありません。地元の市区です。「使用を許可する、ないし使用許可の返還を許可する」などを決定しているのは、東京都になります。公園協会、そしてその各々の霊園管理事務所では、申請の受理や、審査を行っています。
横田:ここはやはり一般の方との認識の差というか、私もそれで戸惑ったのですけれども、受理されたら普通はOK だなと思ってしまうのですが、あくまでもそれは受け取るだけですよと。おそらく、少なからぬ方々が誤解なさっておられると思うのですが、これを最終的に決定するのは向こうなので、一応書類を預かっておきますということですね。
担当者:申請が終わるところまでというか、申請を受け付け、私ども公園協会の各霊園管理事務所等で、基本的な審査を行い、申請書類の要件を満たしてもらった上で、最終決定は東京都が行うという流れになります。
横田:ここにあるような書類の不備がないかどうかぐらいの、要するに本庁に行ったときに行き違い、書類の不備の指摘がないように、これとこれが足りないから持って来てくださいとか、そういう話ですね。
担当者:特別な事例で、私たちで判断できないような案件については個別に、これが問題ないかというようなことを東京都に判断を仰ぐ場合もあります。
横田:先ほどのお話ですと、データは大体3 年ぐらいの保存で、そこから昔のことはあまり参考にするようなことは、経験則上あまりないような気がするというお話だった。けれど、例えば都立霊園内の無縁改葬などでは、そこで生じた問題とか、在籍調査等も含めて、その辺りはある程度、経験値の蓄積が必要とされる事柄であるような気がするのですが。それはどうなのですか、やはり3 年、ということになるのですか。
担当者:3 年というのは、所長会の会議の議事録の保管状況のことです。通常の決定文書は、案件ごとに保存年限が決まっています。
横田:文書は誰が決定するのですか。
担当者:文書の内容によって決定権者は違います。
横田:役割というか課題によって、誰が決定権者なのか変わる。だからいただいた資料でも、要するに必要に応じて事務担当者会議やプロジェクトチームもあったりする。そこで決定されたからということはないとは思うのです。
担当者:そうですね。会議自体には決定権はありません。
横田:問題について議論して、その結果について何か決定なり通知を出すのは、例えば東京都公園協会の課長が決定する場合もあれば、本庁へ持って行って、本庁のほうで決定して通知が来たりするということで、双方向性のある柔軟性を帯びているのですね。分かりました。とある主要都市の会議もそうなのですが、文書としての保存年限は、確かにボリューム感が出てくるので、これ全部保管するのかという話は理解できます。ただ、現在では全部電子データ化してしまえば、特に保存年限を決めなくとも、必ずしも「場所を取るから、いつまでも保管しておけない」ということもないと思うのですが。
担当者:会議の議事録は長年取っておく必要がないからだと思います。
横田:だけど何かの拍子で、「あのとき、あれのあれが、あればよかった」というのが、ふっと出たりはしませんか。私は結構片付けられない人間で。まさしく今も国土交通省からヒアリングを受けて、レポートをやっているのですけれども、それは10 年前にも同じ案件でヒアリングを受けているのです。それで残しておいてよかったと。国土交通省へ「10 年前もこういう話をしていましたよ」と言ったら、「ああ、そうなのですか」と。国土交通省にもちゃんと成果物は入れているはずなので、残っているはずではないですかと言ったら、「いや、多分倉庫の中なので、もうよく分からないです」という。そういう意味で言うと、電子データにしておくと場所を取るわけでもなく、一朝事あらばというとき、スッと抜けるから。電子データ媒体の活用というのが、あまり諮られないのはなぜかなと。
担当者:議事録も次第も電子データで保存してありますけれども、必要とする人が変わってしまうと、多分検索できないからではないですかね。「前にそういえばやったよね」と言っても、いちいち開いて見ないと、何月にどの議題を話し合ったかというのが。大体ワード文書を使っているので、たくさんのフォルダーの中から、その議題を話し合ったのが、どのフォルダーかというのは検索できないではないですか。だからかもしれないです。
横田:そういう場合は、例えば何かルールを決めてしまえばいいのでは、とはならないのでしょうか。例えば図書館では図書コードというのが、ちゃんと決められていますね。
担当者:例えばアクセスなどのソフトを使って、データとして検索できるような保存の仕方をすることは可能だと思いますが、そうしておこうという、必要に迫られるようなことが今までなかったからではないかと思います。つまり私たちの会議は、何かを決定する前の議論であって、決定したことは、決定した文書のほうで見ればいいという感じなのです。
横田:決定するのは、先ほどのお話に戻りますけれども、担当者課長がもう決定してしまうというケースもあるし、本庁のほうに持って行って、本庁にお伺いを立てて決定するものもある。いずれにしても、要するに事案に応じて、各々の事案の重要度・内容に応じる形で、その都度、適切・妥当な誰かが決定権者になり、そこで決定される。
担当者:そうですね。それぞれの権限の中で決定処理されるということです。
横田:誰が決定するのか。例えば「この問題は課長マターだよね」とか、あるいは「本庁マターだよね」という、いろいろな問題が出てくると思うのですが、それの分別というのは何か基準があるのですか。
担当者:公園協会は指定管理者ですので、決定できる大きな役割は規定されています。また、通常の事務処理については、東京都も公園協会も、それぞれ決定者に関する基準をもっています。
横田:ただ、先ほどお話を踏まえて言うと、要するに何か決定した事柄は、指定管理者であるところの公園協会で、話し合ってこういう解決をしたという意味で言えば、例えばそれを決裁するのは課長の決裁でいいものであっても、「いや、うちはこういうふうに業務改善頑張ったんですよ」というので、やはり本庁のほうに報告して、「おお、指定管理者頑張っているね」というようなこともあるのでは?
担当者:それは指定管理者という立場で、毎月1 回事業の実施状況を報告する場があるので、そのときに報告します。
横田:なるほど。「こんなことがあって、このようなことを今やっています」というような。「ああ、そう、じゃその話はうちへ持って来てね」みたいな。
担当者:そういうやり取りが行われることもあります。コミュニケーションが取れているので、後になって不都合が起きるようなことはあまりありません。
横田:「ああ、そう。じゃ、決まったら報告だけうちに上げておいてよ」というかたちで、それはそれで分別化されるわけですね。要するに指定管理者の指定者と、指定を受けた側の中での。
担当者:そうです。逆にそのコミュニケーションが悪くなると、行き違いのおそれはありますね。
横田:やはり最終的には、顔を見ながら話し合うというところなのですね。
担当者:「顔を見ながら」というコミュニケーションは重要だと思います。

以 上



事例1(東京都公園協会)

各資料は、画像をクリックすると拡大表示されます。

資料1


資料1
現名義人様が死亡
祭祀を主宰していることを自ら疎明(事情説明)する場合

資料2


資料2
現名義人様が死亡
親族の協議が必要な場合

資料3-①


資料3-①
現名義人様が死亡
疎明(事情説明)・推薦を行なう
①疎明・推薦者が祭祀の主宰者である場合

資料3-②


資料3-②
現名義人様が死亡
疎明(事情説明)・推薦を行なう
②申請者が祭祀の主宰者であるが、自ら疎明することができない場合

資料4


資料4
現名義人様が生前に
承継人を指定した場合

資料5


資料5
現名義人様が死亡
承継人が指定されている場合(遺言・家裁の審判等)


4-1 事例2(一般財団法人 環境事業協会)ヒアリング詳細

4-1 ヒアリング詳細


一般財団法人 環境事業協会

2012年2月28日(大阪) 一般財団法人 環境事業協会にて。


横田:環境事業協会の場合、大阪市の市立墓園の管理を委任された指定管理者ですね。
加地: そうです。大阪市の場合は、市設霊園といいます。
横田:自治体によっては市が想定する団体以外の処が指定管理者になれないような、実質的な制限を設けている場合がありますが、大阪市、環境事業協会の場合も同じですか。
加地: いいえいや、大阪市の場合は、そのような制限はありません。募集要項に基づき申請書類を提出し、最終的に大阪市環境局が審査して指定管理者が決定されます。当協会(一般財団法人環境事業協会)も同様の手続きを経て、指定管理者として指定を受けました。
横田:しかし、市長が変わりますと、そうしたことにも変化が生じる場合もあるのでは?
加地: そうですね、行政改革の一環として、民でできるものは民で、官でできるものは官でという話と、経費の削減も含めまして、指定管理制度を導入したと思います。当然、市長が変わった時にそのような方針が出ることはよくあるパターンです。大阪市の場合も、そういう民間活力といいますか、そのようなところを利用しようということが方針としてはありました。
横田:少しお話を戻して言いたいと思いますが、加地様のいろいろお話を聞いた中で、大阪市以外で、やはりどこでもある種の内部的なコミュニケーションは、在り方の形態は違うにせよ、このようなところはやっているということはありますか。
加地: 私自身、この業務に従事をしましたのが今年度で2 年目ですので、そのような面では大阪府下の状況には疎い部分があります。現在、当協会が指定管理者として管理代行している大阪市設霊園は大規模霊園と言っているものが4 か所あり、それと小規模霊園といっているものが5ヶ所です。
横田:ちなみにその小規模霊園といいますのは、先ほどお話得た、みなし市営墓地ですか。
加地: いいえ、これらは引き継ぎ霊園といいまして、歴史も古く地域の方が長年にわたり、使用してきた施設です。この小規模霊園は、大阪市が市域拡張の際に、周辺町村から引き継がれた霊園で、永続性をもった管理運営が求められています。
横田:引き継ぎ墓地ですね、呼び方はいろいろあると思いますけれども。地元の人たちが管理をしているというようなものでもないのですか。
加地: これら、引き継ぎ霊園は、大阪市内に59霊園あります。そのうち、協会が管理運営している5霊園を除くその他の霊園につきましては、保存会のようなものがあり、独自に管理運営されています。一方、当協会が管理運営している小規模霊園5ヶ所につきましては、過去、火葬場が併設されていた等の理由により、大阪市が管理していたものです。
横田:これは月に1 遍。その前に冒頭の下2 行ですけれども、会議の名称と構成は数年おきに見直されていますが、どのような見直しの仕方ですか。ここにこのような問題とか、ここにこのような必要性がありますので、このような見直しを最近なされましたか。
加地: 要するに、会議の種類はいろいろあるので、その会議を円滑におこなう上で構成メンバーは、変更しています。例えば、園長会議は、以前、多くのメンバーで構成していましたが、今は各霊園の長だけなのです。そのような面で必要に応じて、その部門の責任のあるメンバーを参加させています。 協議項目によってたくさんの人にその内容を協議してもらうのもいいのですけれども、反対に絞った形ですべきこともあります。そのような面で、広がりや対象者の限定はその時々に応じて変更しうることであるということだけですけれども、定例会議メンバーを頻繁に替えるというわけではないのです。
横田:その会議の個々の議題が上がっていますけれども、それに応じて「君、参加しても今回の議題じゃしょうがないや」とか、「今回の議題だったら、参加して君の意見をもらわんと困るね」というものですと。
加地: そうですね。ですので、当然、必要な協議内容であれば、園長以外にも他の人に参加していただくこともあります。
横田:これは大阪市のどこの所管になるのですか。
加地: 環境局事業部の事業管理課霊園グループになります。
横田:課長ないし大阪市の担当者の方もご出席される、ないしは大阪市に行ってこの会議をやるということもあるわけですか。
加地: 大阪市の環境局とは、霊園担当者と月1 回、調整会議を持っているのです。
横田:この会議というのは、調整会のことですか。
加地: そのようなものです。この会議を受けて、園長会で報告したり、園長会で話した内容を局との調整会議に報告すると言ったものです。
横田:このような話が出ていますから、どうしますかと。
加地: そうです。そのような形です。東京都公園協会にも行かれたそうですが、東京都もそのような形をされていると思ったのですけれども。
横田:東京はもう少しファジーな印象を受けました。要するに会議も、東京都公園協会の会議室でやる場合もありますし、必要がありましたら都庁の会議室でやる場合もあります。 今の加地様のお話ですと、要するに市で調整会議があり、それとは別としまして、環境事業協会で話し合いがある、と。この場合、園長会での課題なり議題なり、このようなことをやりました、このようなことをやってはまずいでしょうかという話を大阪市へ持っていき、大阪市から言われ、逆にこのようなことをしないかという話をこちらへ持ってきたという、きちんとしたすみ分けができている感じですけれども。 そうした点、東京はもう少しファジーといいますか、出たり入ったりが、ケースバイケースで対応していると思われました。
加地: 現在、要するに月に1 回、局の会議室において調整会議をしています。会議室がない場合は、近くの霊園事務所の会議室でおこなう場合もあります。局の調整会議が月1回、園長会も月1 回です。園長会の日が、局の調整会議が終わった後に来る感じですので、その時に局からの報告事項がありましたら報告をします。 それと、園長会でこうしてほしいという要望や提案等がありましたら、翌月局との調整会議に上げることになります。
横田:これはよそとの比較でしか質問が思いつかないのですけれども、1 つの事例です。これまでの会議の議題で上げておられる中の1 つとしまして、例えば防犯、防災対策、被害時の安全管理辺りは、東京都の場合、ケースによりましては各霊園の管理事務所長が集まってやりますけれども、その内容に応じましては霊園に直接行きますと。 例えば石の、ある種の端材の不法投棄などは実際にその霊園へ行きまして、見学会ですけれども、そこの霊園の管理事務所で見学をした結果を踏まえてやることもあるようですけれども、霊園巡りというとあれですけれども、やはり現場を見ませんと議論が進まないというようなことはないですか。
加地: 今、私がこの担当になり2 年目ですけれども、そのように現場をみんなで観に行くというようなことはしてはいません。ただ、写真を撮ってきてもらい、報告を上げてもらいます。あと結構、園長同士がこの園長会とは別に、相互に連絡を取り合ったりする場合も結構あります。また緊急に園長会以外にもトピックスで、みんなで情報共有をします。ただ、私が担当となって、霊園の実際の状況をみんなで観に行き、そちらで会議をするということはないのです。
横田:今のトピックスといいますのは、園長会の中で必要が生じました場合には、事務担当者会議やプロジェクトチームを設置して議論するというのに該当するのでしょうか。ご提供いただいた資料(6)の7 つ目を見まして、今、カジさんがお話しされました、必要に応じてといいますのは、このことかと思いまして。
加地: どのように言えばいいでしょうか。端的に言いますと、何かトラブルが発生し、使用者に対して不快感を与え、それが各霊園に起こりそうで、という情報でしたら、すぐに各霊園に報告しませんとやはり同じようにトラブルが発生するかもしれません。このような場合は、園長会でも当然やりますけれども、それ以外に各園長で連絡を取り合うこともあるのです。 事務担当者会議とは、要するに事務手続き上の話で必要な場合は担当者を集め、話をします。また、事務研究会を月1回別途に開催しています。事務担当者を集め、実務研修というかたちの取り組みをしている状況です。
横田:先ほど、市の方はということで、ここの担当は事業グループの方というお話であったという様に理解しましたが、環境事業協会は、ことお墓だけに限った事業をおこなっているわけではないですので、私がお伺いをしますのは環境事業協会における情報共有です。大掴みにしませんと話が小さくなってしまうように思われます。プロジェクトとして情報共有も前提として想定されているのだとも思うのですけれど。たとえば、墓園の場合には、例えば在籍調査や無縁改葬は公園課の事業グループだけでは対応出来ず、戸籍の在籍は市の戸籍係ないし、公用照会でしたら戸籍係を通した公用照会という形になるのではないでしょうか。
加地: はい。
横田:この場合のアクセスビリティといいますか、段取りとしましては、環境事業協会がもともとの主幹であるところの事業グループに、最近は管理料を滞納している人が多いので調査をしたいということで、そちらの事業グループから戸籍係へ説明に行く根回しをしておいてもらえませんかという話でしょうか。それとも直接、電話1 本で戸籍係に行きますからという、と事前に断っておかなければいけないような、その辺り、現実にはどのような感じでしょうか。
加地: 当協会は業務上、必要に応じて戸籍照会をする場合があります。その場合は協会から大阪市の担当課(事業管理課霊園グループ)へ、このような戸籍を調べてほしいということで依頼をあげまして、担当課から各区役所や他市町村へ照会をかけていただく形です。
横田:その場合には、事業グループには特に報告はないと言いますか、しないと言いますか。
加地: ごめんなさい、事業グループという言葉に慣れていないので、担当課と言っていました。
横田:東京では、「管理事務所長会」とか言いますが、園長会はいつ頃から始まりましたか。
加地: 霊園の管理運営の業務委託としては、平成11 年4 月から、大阪市の外郭団体として財団法人大阪市環境事業協会が委託を受けていましたので、恐らくその当初からと思われます。
横田:お話をさえぎってしまいすいません。その当初は指定管理者としてではなく、委託業務ですか。
加地: 委託です。(指定管理制度は、平成15 年6 月の地方自治法改正により導入された。)
横田:途中から指定管理者の話が入ってきた、というようなことですか。
加地: そうです。
横田:委託業務のままという訳にはいかなかったのですか。
加地: そうですね、霊園の指定管理については、平成18 年度に、大阪市環境局が指定管理者制度を導入しました。その時に、これまでの業務委託をしていた事業のうち、指定管理制度に該当する業務を指定管理に移行した経緯があり、霊園の管理運営業務がそれに該当したため、指定管理になったということです。余談ですが、指定管理前の業務委託は、大阪市の外郭団体(財団法人大阪市環境事業協会)であったため、随意契約で受託しており、当然、大阪市からの出向職員もその業務をしていました。
横田:ただ、現実問題としまして、例えば環境事業協会の場合は民間も手を挙げるという話が出ていますけれども、できるのでしょうか。例えば東日本-関東圏の「市」の場合、要するに指定管理者制度も、私も幾つかの指定管理者の選考委員をやったりもしているのですけれども、自分の抱えている公営霊園を指定管理者にアウトソーシングしたいとなりました時、1 年はかかります。 何故、そうした時間が必要とするのかというと、要するに業務仕分けではありませんけれども、どこまでが市がやり、どこまでをアウトソーシングするのでしょうかと。例えば東京都公園協会の場合は、許可証の交付は協会がしているわけではなく、東京都から預かったものをそのまま渡しているだけですと。ないしは改葬許可につきましても、窓口で改葬許可の申請を受理し、それを東京都へ持っていき、改葬許可証をもらい出しているという言い方をするのです。しかし実際、無縁のダイナミックといいますか、どかどかとやるようなあれは、そんなに都が密接に関連業務としてやっているといいますよりも、かなり東京都公園協会独自のもので して。当然、東京都には事情は説明しているのでしょうけれども、かなり独立性を持ってやっている印象が強いのです。 ですから、これは東京都公園協会ではなく他の業者がやりますと言いました時、区画も8 霊園で22 万区画ですから。22 万と言いましたら、使用者1 人でも22 万人です。それにお父さん、お母さん、きょうだいと仮に7 人としますと60 万、20 万と政令市に近くなるキャパシティーを抱えているわけです。あれはすごいと。
加地: そうですね。もともと業務委託を受けていました協会が、そのまま指定管理者になりましたから、大阪市の外郭団体としてやっているような状態できているのは確かです。ですので、指定管理者になったからと言いまして、現場での業務が大きく変わったわけでもないのです。今、他の民間事業者がこのようなことをできるのかということですが、私もそれは分かりません。今、大阪市の場合ですと泉南メモリアルパークという、もう一つの指定管理業務があります。大阪市設大規模霊園、小規模霊園、泉南メモリアルパークこの7 つが別々に指定管理業務とされています。 そのような面では、泉南メモリアルパークの指定管理者は民間の事業者の方で、大規模霊園、小規模霊園とも業務はできるでしょう、やりたいという要望は多分お持ちだと思います。
横田:指定管理者から情報共有の話に戻したいと思いますけれども、その他の事項としまして議事録の保存がありますね。これは紙媒体で保存なさっているのですか。
加地: 一応、今はパソコンで入力していますので、その議事録は紙とデータとして残っている状況ではあります。東京でもそうだと思いますけれども、文書の保存期限があります。 その期限が来ましたら、それは処分します。大阪市もそうされていると思いますが、当協会も同じです。指定管理者の場合も文書の保存年限があり、それを越したら処分をしてくださいという指示があります。
横田:それは「処分せよ」なのか、「処分してもいいですよ」なのか、どちらですか。
加地: 指定管理者に言われるのは、「保存年限は保存、その後は処分」ということです。
横田:「処分してもいいですよ」ではないのですか。
加地: その辺は、基本的には処分だと思います。情報公開がありますので、当然、保存期限は保存しますけれども、やはり何のために保存期限を決めたのかといいますのは、すべてそれを残す必要はない。あるものは無期になっていますので、その辺は事務上もきちんとやってくださいということになると思います。 今でもたまにお聞きになられる方も来ますけれども、やはり文書の保存期限で処分をしたものについては、そのような理由で公文書公開をしていただけないとご返答というか、お答えをしています。
横田:私も同じことを申し上げたのです。書類の保存期限が決まっていると、電子データベース化をすればいいのではないですかと。私もと言いますのは、東京都の担当者自身のことを指していますが、電子データベース化をしたとしましても、私がいつも課長をやっているわけではないから、次の課長になりましたときに「あの問題について話し合ったデータはどこのフォルダにありましたか」と探す手間を考えるのでしたら、もう一回集まって話しあったほうが早いのですと。それを言われますと、今の話は聞かなかったことにしますと。 物理的な問題で、紙媒体で残していますとこれを残しますかと、電子媒体にすればいいのではないですかと。電子媒体でも検索をかけて必要な情報を抜くのは大変な話ですので、それでしたらもう一回集まり、事務所長会とか、ネーミングをその時々で変えるみたいですけれども、必要な事柄について関係者を集めて話し合ったほうが早いでしょうと言われ、そう言われればそうなのですけれども。
加地: 結構、必要な事象につきましてはマニュアル化や、東京都公園協会の課長も多分言われましたように通知文を発するのです。ですから、それをまとめた形でファイリングしまして、そのような状況の時にはどのような。
横田:手続きはこうする、これはもらっておかないといけないような、ものがありましたね。
加地: そうです。そのようなものにして、関係者がそれを共有することになると思います。
横田:最後ですが、実は私はこの研究のテーマは情報の共有化の他に墓園問題の発生パターンが、墓苑とは長期にわたる感じではないですか。ですから、当時は東北大にいましたので、多目的問題に関する解決、要するにゲーム理論の応用みたいなアプローチでデータベースの構築は出来ないものかと。 何が言いたかったかといいますと、要するに墓園とは長期にわたる管理ですと。ですので、目先で起きている問題ないしは課題に対しまして、その時はベストだと思った解決の方法が、10 年、20 年たちました時に大変なことになることがあるのです。 一番分かりやすい例で言いますと、管理料です。毎年管理料を徴収する手間を考えましたら面倒くさいですと。そうでしたら、20 年とか70 年分、永代管理料でまとめてもらいましょうと。それはその時におけるベストといいますか、合理的な判断ではあるのですけれども、実際それをやってしまいますと70 年後に何が起きるかといいますと、まったくわけが分からなくなりましたと。 埋葬とか、管理事務所をとおしてくださいとアナウンスはしますけれども、使用者はだいたいこちらから入り、こちらへ抜けていきますので勝手に収まります。カロートを開けたりしますと台帳にない骨壺がたくさん入っていましたり、入っているはずの骨壺が入っていないなど、大変な状態になります。しかも、使用者が変わりましたら届け出てくださいとか、規則に書いてあることが全然守られないのです。 そして70 年後、地獄の釜の蓋が開く状況になるとなりましたら、手前においてはベストな選択といいますか、手間のかかる話ですけれども、毎年管理料を徴収していましたら、冒頭でいろいろお話をしましたが、徴収コストですと確かに手間はいろいろかかりますけれども、その時々でいろいろな問題が生じました時にすぐに対応できます。 すべての問題を解決するところまでは至りませんけれども、例えばたまたま引っ越してしまったとか、使用者が死んでしまったということでありましたら、どうするのかとなりましたときに、私が引き継ぎます、近いところへ新しいお墓を建てるので返します、手続きを忘れていましたということで、毎年管理料を徴収していましたら、おおむねの問題が解決していきます。 当初の問題解決における優位性といいますか、効率性が、次の管理上の時期のステップに移りました時にベストチョイスがベスト足りえないといいますか。その辺をうまくコンピューターでモデリングできないかということを、そもそも大学でしていたのです。 例えば管理料を滞納するということは、管理料の滞納から今度は無縁をどうするのかということの対応に関連しますので、将来、無縁化する公営墓地の場合、使用許可を取り消すために管理料の滞納に対する事務的な対応の効率的な方法をしておきましたら、いざ無縁改葬をする時にもう一回同じ手間を、要するに、この手続きのここの部分がないだけで、もう一回同じ調査やらなければなりません。 読んでいますと、そのようなことが大きいですので、そのような合理的な問題解決のシステムが作れないかと思っていましたのが、そもそもの思いなのです。
加地: そうですよね、確かに大阪市の霊園、その4 つの大規模な霊園ですけれども、そのうち、昭和15~16 年に供用開始された霊園が2 つあり、それぞれが古いのです。南と北は民間で、明治時代にできていたような霊園です。先ほど言われましたように管理料が永代ですので管理料が発生しないのです。その霊園がものすごく霊地が多いのです。 ですから、言われますとおり、相手との接点がないので、使用者がどなたになっているのか、くしくも今、調査している状況にあります。確かに毎年管理料をいただいていましたら、その相手とのコンタクトが必ず年に1 回はありますからね。
横田:それは1 事例でしかないですけれども、分かりやすいですね。そうです、本当はそこだったのですけれども、それが形を変えまして、時代も変わり、そのような問題よりも墓埋法行政がいつの間にかたこつぼ化してしまい、人口7 万とか5 万とか、北海道では1,600 人しかいない市があります。衛生関係の担当者は他の部署も兼務しているのではないでしょうかと。 そこに墓埋法を全部降ろしてしまうのは、やり過ぎですと。 その片方で厚生労働省は何を言っているのかと言いますと、大災害時における広域火葬行政の在り方についてなんていうものをしつこく言っているわけで、矛盾することをやっています。事実、東日本大震災の時にひどいことになったのです。その時にかなり分権化が進んでいましたので、県で火葬場をまったく把握していないのです。ですから、どこに火葬場があるのかもまったく、県の衛生課が知りませんし、どこにあり、そこの火葬場は幾つの炉があり、燃料は何を使っているのか、被害にあったのか、動いているのか、何体ぐらい引き受けられるのかが全然分かりませんでした。
加地: そこはよく分からないのですけれども。
横田:私も具体的に分からないのですけれども、法律なら全部分権化できるのではと、そうではないらしいのです。法律でも分権化を前提とした書き方といいますか、構成があるらしいのです。墓埋法はまったくそのような形に放っていませんので、あれはせいぜい都道府県単位で、あとはその中でマネジメントをする想定で、それを市に降ろしてしまいましたのは、行政法上から見てもおかしいのです。
加地: 出来ましたら、今後もそうした情報や現状について、いろいろお尋ねしたいこともありますし、トレンドも分かりましたら教えていただきたい部分があります。全国のそのような流れの中で、大阪市へ提案できることがありましたらやっていきたいと思いますので、またその時にはよろしくお願いします。
横田:長々と2 時間以上お時間をいただいてしまい、申し訳ありません。
加地: いいえ、お役に立てましたかどうか。

以 上



4-3 よくある質問 キーワードの抽出過程 >>>


項目TOP

サイト内キーワード検索:
上部窓にキーワードを入力して検索してください。


目 次


ページのトップへ戻る