平成28年度厚労科研費研究に伴う

「墓地の経営・管理に関するFAQ」

  FAQ記載の参照番号は、墓地管理士通信教育テキストの番号に準じております。


「墓地の経営・管理に関するFAQ」


サイト内キーワード検索:上部窓にキーワードを入力して検索してください。


FAQ 8.埋蔵委託管理型(永代供養墓)に関する問題


Q1.[合葬式墓地における親族からの遺骨返還請求]に関する質問

合葬式墓地において、親族からの遺骨返還請求があった場合の法的考え方について伺いたい。 (市建設部みどり公園課担当者より)

Answer

何時の時点で返還請求がなされたかがポイントです。合葬墓に納められた後、3〜5年程度経過した後の返還請求であれば、請求者の過失相殺(何故、直ちに返還請求をしなかったのか)を含めて、施設管理者側の主張が十分汲み上げられるはずです。何れにせよ、無縁改葬後の埋蔵遺骨の取り扱いは慎重に行う必要があります。
合祀前に一定期間は骨壺の状態で保管するべきでしょう。過去の判例で、遺族からの遺骨返還請求に応じなかったことで、当該施設の運営者側に200万円の損害賠償が命じられた判決があります(京都地方裁判所平成17年(ワ)第2092号)。これは、当該施設に移された焼骨(骨壺)について、運営者側が直ちに当該焼骨(骨壺)の返還請求に応じなかったことから生じた事例です。通常は、債権、所有権等の時効を迎えるまでの10年あるいは20年間にわたり管理をしなくても、数年程度管理した後の合葬であれば、特に問題とはならないでしょうし、仮に裁判になったのだとしても、請求自体が棄却されるか、請求が認められたとしても、相当額が遺族側の過失相殺分として割り引かれると考えるのが妥当でありましょう。

参照:Q8-7

Q2.[合葬式墓地の運用に関して注意すべき事項]に関する質問

当公社では、現在「合葬式墓地」の建設準備を進めており、来春には供用を開始する予定である。ついては、合葬式墓地の運用に関して、使用規定に記載することが好ましい事項、あるいは使用申込の際の取り交わし事項として、明文化することが望ましい事項があれば、ご教示いただきたい。(一般社団法人(町地域公社)担当者より)

Answer

ご質問ごとに回答します。
(1)改葬の可否について
合葬式墓地(永代供養墓)に焼骨(骨壷)をおさめた場合、原則として、返還しないことにすべきと考えます。もし、合葬式墓地におさめた焼骨ついて、後日改葬の申し出を受けた場合、安易に返還に応じると、管理実務の混乱が想定されるからです。
但し、合葬式墓地は、おさめた焼骨の管理をしているに過ぎず、当該焼骨の所有権が失われている訳ではないので、相当程度の理由があれば、返還請求に応じざるを得ない場合もあることは、想定しておくべきでしょう。
(2)骨壷の大きさ等について
当該施設におさめる骨壷等の大きさは、応募要項等において周知しておく必要があります。所定と異なる大きな骨壷であると、焼骨の入替えを求めることとなります。
合葬式墓地の種類と、推計される収容する骨壷数及びその方法が決まれば、どれほどの規模にするかの問題となります。

  • ①イニシャルコスト(建設費)の早期回収と、当該施設に求められる持続的供給のバランスから、前期と後期に分けることも有り得る。
    ここで、イニシャルコスト(建設費)を5千万円、収容能力を5,000体と仮定する。
    1体あたりの使用料を10万円、収容能力の5,000体のうち、500体を前期とすると、10万円×500体=5,000万円となり、この時点でイニシャルコストの回収は終わる。
  • ②使用料の設定については、骨壷一つにつき、「市民で遺骨を保有している方」10万円、「生前に申し込む方」25万円、「市外から申し込む方」50万円、のように区分する考え方もある。
  • ③「生前に申込む方」において、15年以内に焼骨が当該施設に運び込まれなかった場合、当該権利主張の申入れが書面等により確認出来ない場合、使用許可は取り消す(使用権の失効)とすべきである。15年としたのは、使用許可に拠る使用権は債権類似の権利であり、その債権の最長時効期間が15年であることに根拠を置いている。
  • ④施設の管理料を徴収するか決める必要がある。合葬式墓地の場合、管理を委託される焼骨(骨壷)は、ひとつの施設に収容するため、維持費は、空調費用等で、さほどコストはかからないが、いつでも受け入れる準備をしていることから、「徴収コストを考慮した管理料」とすべきという考え方もある。年間管理料を徴収することにすれば、生前に申込んだ者の消息の確認が出来るというメリットがある。

参照:Q8-9


「墓地の経営・管理に関するFAQ」目次

1.墓地の計画、許可などを巡る問題


2.個人墓地に関する問題


3.墓地の管理等に関する問題


4.埋蔵・分骨・改葬などを中心とした問題


5.使用料・管理料の徴収、滞納管理料などに関する問題


6.使用権の承継や失効などに関する問題


7.無縁墳墓(墓所区画)の取り扱いに関する問題


8.埋蔵委託管理型(永代供養墓)に関する問題


9.墓埋法の基本に関する問題


10.墓埋法に係わるその他の問題


ページのトップへ戻る