平成28年度厚労科研費研究に伴う

「墓地の経営・管理に関するFAQ」

  FAQ記載の参照番号は、墓地管理士通信教育テキストの番号に準じております。


「墓地の経営・管理に関するFAQ」


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FAQ 5.使用料・管理料の徴収、滞納管理料などに関する問題


Q1.[墓所に納骨できる(親族の)範囲]に関する質問

[20年分の管理料でもって永久管理を謳ってしまった場合]
当霊園では、設立当初に貸し付けた墓所区画に関しては、20年間分の管理料を支払ってもらうことによって、「永久管理」を謳っている。こうした墓所区画の使用者からは今後、全く管理料等を課すことは出来ないのか。ちなみに、当墓園では7,500基が貸し付け済みのもののうち、4,000基が該当する。
(当霊園のパンフレットには、次のように述べられている。「管理料は霊園の維持管理する費用です。20年分前納していただいて、永久管理します。」) (財団法人の墓園事業関係者より)

~ Q1 の回答は、下記 Q2 と同回答となります。~


Q2.[永代管理料の年間管理料への契約更改]に関する質問

当財団では、設立当初、永代使用権と永代管理料で、使用契約を締結した。その後幾度か経営陣が交代し、一昨年から経営を引き継ぎ、立て直しを図っているところである。年間の運営経費を考えると、安定的な財源が必要なため、昨年4月より、現使用権者に対し年間管理料への契約更改を依頼し、現在では約4割が更改に応じていただいたが、残りの6割の方々は、永代管理料の権利を主張し、なかなか進展していない。同じような制度を採られている他の霊園について、参考となる打開策があれば、ご教示願いたい。 (公益法人営霊園理事長より)


Answer

管理費用の不足による赤字など、現状の厳しさを有り体に説明し、適切な管理料支払いの協力を求めるほか無いと思われます。
一般的に「永代」という言葉は仏教上の用語が敷延されたものであり、法的な定義を受けたものではないとされています。だからといって20年程度の経過をもって失効というような一律な扱いによって、この問題を処理することは出来ません。契約においては「事情変更の法則」があり、①当事者の責めに帰することが出来ない場合、②契約当時にあっては当事者が予想も出来ない場合、③著しい事情の変更が生じた場合に限って、信義・衡平の見地から契約内容の改訂・解除が認められますが、ご質問のケースが、これに該当すると判断するのは極めて難しいことであるように思われます。
昭和40年前後に開園した民営霊園のなかには、開園当時の資金繰りの困難な状況下で、永代管理料として一括前納の方式を実施したケースが見られます。
それらの霊園のその後の状況を、代表的な3霊園について調査したところ、次のようなものでした。
A霊園:
当初数年間実施。期限の定めのない永代管理料なので、契約上、直系親族の承継に限り永代管理としている。
B霊園:
当初数年間実施。計算上、20年間分の管理料分の一括前納であるが、契約上は期限の定めのない永代管理料なので、20年を過ぎた時点で承継者交代の都度、説明していたが、はかばかしくないため、最近対象者全員に窮状を訴えたお願い状を出し、効果を上げている。
C霊園:
開園当初、非公式に、10年、20年、30年、50年として一括前納をお願いしたケースがある。期限が明確になっているため、その時点で解消している。
ご質問のケースは、20年分であることを謳っていますが、永代管理であることを強調したかたちになっていますので、B霊園に倣い、財政的に圧迫となっていることを切々と訴えて納得してもらう努力を続けるしかないのではないかと思います。ご質問では貸し付け済7,500基のうち後期貸し付け分の3,500基については年間管理料として徴収しているとのことで、現状ではこれら後期貸し付けの使用者の管理料によって霊園全体が維持されているということになり、このままでは後期貸し付けの使用者に対する信義上の問題も発生してくることが考えられますので、早急に着手し、根気強く解決していくことが望まれます。

参照:Q5-16、Q5-17


「墓地の経営・管理に関するFAQ」目次

1.墓地の計画、許可などを巡る問題


2.個人墓地に関する問題


3.墓地の管理等に関する問題


4.埋蔵・分骨・改葬などを中心とした問題


5.使用料・管理料の徴収、滞納管理料などに関する問題


6.使用権の承継や失効などに関する問題


7.無縁墳墓(墓所区画)の取り扱いに関する問題


8.埋蔵委託管理型(永代供養墓)に関する問題


9.墓埋法の基本に関する問題


10.墓埋法に係わるその他の問題


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