平成28年度厚労科研費研究に伴う

「墓地の経営・管理に関するFAQ」

  FAQ記載の参照番号は、墓地管理士通信教育テキストの番号に準じております。


「墓地の経営・管理に関するFAQ」


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FAQ 7.無縁墳墓(墓所区画)の取り扱いに関する問題


Q1.[公営墓地における条例に基づく使用許可取り消し]に関する質問

講習会で「(公営墓地において)条例による使用許可の取り消し事例は無い」との説明があったが、実際に多くの公営墓地で無縁改葬が行われているのではないか。
次に墓所区画の使用許可はなされても、焼骨の埋蔵は無論、墳墓の設置さえ行われていない場合、これは祭祀財産と言い得るのか。こうした墓所区画について、返還の申し出がなされ、いわゆる「返還金」が支払われた場合、これは「相続財産」になるとも思われるが、どう考えられるか。 (公営墓地の職員より)

Answer

講義後の質疑応答の際に、「(公営墓地において)条例によって使用許可を取り消した事例は無い」という説明がありましたが、この主旨は、「公営墓地は条例や規則によって、使用を許可されている。従って、その使用権の取り消しに、施行規則第3条に定める無縁焼骨の改葬手続きに拠らず、条例や規則に基づいて対応することが出来るはずであるが、そのような事例はない」というものです。
論理的には成り立ち得る考えかもしれませんが、現状では条例や規則による使用許可の取り消し(聴聞委員会の開催など)と、墓埋法施行規則に基づく無縁焼骨の改葬が並行して行われているのが一般的です。
次に後者の問題については、墓所区画に墳墓が建立されていない状態は単に使用権が設定されているだけであって、祭祀の対象とは言い難く、あえて言えば、祭祀を行うための権利・財産になります。
墓所区画の返還に伴って返還金の支払われた場合、それがどの様な性格の「財産」になるのかについては、税務当局が判断すべきことでありますが、仮にこれが相続財産に該当するとしても、相続に伴う課税について議論がある程の額だとは思われません。

参照:Q7-16

Q2.[無縁改葬後の焼骨を合葬するには]に関する質問

当霊園では、3年以上墓地管理料が支払われない場合、使用規則に則り、当該墓所区画を更地にする旨、当該者に郵便配達証明を送付するなどして、再三にわたり連絡しているが、回答を得られない使用者が増えている。止むを得ず、当法人の使用規則に則り、墓地の幾つかを更地にしている。
しかし既に遺骨が埋葬されている場合も多く、遺骨の保管に苦慮している。当霊園の無縁墓に合葬することを考えているが、以下の点をお尋ねしたい。 (宗教法人営墓地責任役員より)

Answer

管理料未納者に対して、使用規則又は契約約款に基づき、使用許可の取消し又は契約解除を行っていることについて、当協会会員霊園を対象に実態調査を行ったことがあります。調査の結果では2割近くが、実績ありと回答していますが、実際に無縁墳墓としての事務処理は使用権の取消し又は解除してから、数年も経過した上で合祀墓等への改葬をしているところが多いようです。この場合、無縁改葬の手続きは、いわゆる施行規則3条により行われていれば、改葬後の焼骨の処置について問題はありません。
かつて、ある公営霊園では規則第3条による無縁改葬後、焼骨は合祀墓に納め、墳墓は別に保管していたこともあった様です。しかしながら、焼骨については引取りを申し出てきたケースはあったものの、墓石については申し出がなく、現在では適時処分しているということでした。
したがって、焼骨については直ちに合祀してしまうのではなく、一定期間できれば10年程度は個別に保管しておく方が問題は生じないと思われます。
なお、ご質問では「使用規則に則り、墓地の幾つかを更地にしている」とありますが、施行規則第3条による無縁改葬手続きを行わずに勝手に改葬し、更地にしているのであれば問題です。

参照:Q7-19


「墓地の経営・管理に関するFAQ」目次

1.墓地の計画、許可などを巡る問題


2.個人墓地に関する問題


3.墓地の管理等に関する問題


4.埋蔵・分骨・改葬などを中心とした問題


5.使用料・管理料の徴収、滞納管理料などに関する問題


6.使用権の承継や失効などに関する問題


7.無縁墳墓(墓所区画)の取り扱いに関する問題


8.埋蔵委託管理型(永代供養墓)に関する問題


9.墓埋法の基本に関する問題


10.墓埋法に係わるその他の問題


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